はじめての引っ越しの追憶——十五歳の春

これまでの人生で、計6回の引っ越しをしてきました。
 大体が二月から三月に越したので、丁度この時期は『新居を探すか』『定住するか』を迫られる時期です。私は、今年はじめて更新する事にしました。寒空の下、不動産屋さんに出かけて丁度、先ほど帰宅したところです。そうして書類を眺めていたら、はじめて引っ越しした時の事を思い出してしまいました。
 私が初めて引っ越ししたのは、高校が遠方だったので、下宿する事が決まった十五歳の春です。初めての引っ越しだからと、わくわくしながら、インテリアを選ぼうとしていました。が、家具のレイアウトが趣味の父が、あれやこれやと準備してくれたんですよね。
 お年頃の女の子だったので、『もっとPOPな……』『いっそレトロで』等と考えていた当時が懐かしいです。引っ越しを重ねる度にシンプルになっていく我が家を見る限り。その時父が選んでくれたのは、シックな緑で統一された調度品の数々でした。大人な装いながらもどこか見る人を和ませる色彩で、帰る度に癒されたものです。
 私が初めて引っ越しして一人暮らしをはじめた部屋は、一応下宿だったんですが、自炊可で、鍵も個人に渡されている体系でした。昼食のお弁当がついてきたんですが、それも自炊可能だったので、今思えば、近所に頼れる管理人が住んでいる一人暮らしの部屋と変わりません。だからドキドキしながら、フライパンから包丁まで揃えました。
 引っ越しの醍醐味の一つは、好きなインテリアや品物を選べる事だと思います。これは今でも感じます。その時々の人間関係や、それこそ親の影響を受ける事もあるかもしれません。だけど、繰り返し引っ越しをしていく内に、イル物とイラナイ物が視えてくる気がします。それは単に影響下から外れたと言うだけじゃなくて、「コレは持っていく」「コレは持って行けない」って、何となく分かるようになる気がします。その中で、少しだけの既存品と新しい品を揃えて、新居で気分を一新する。これが引っ越しなんじゃないかなと、振り返れば思います。
 ワクワクやドキドキが変わって、もっと大局的な目で見られるようになった時、引っ越しってただ場所を移動する事なんじゃなくて、それまでの自分にとって不要な物を切り捨てて、要る物をちゃんと選択して持っていく事なんじゃないかなぁって思うんじゃないかなぁって感じます。
 だからこそ、その時何気なく選んでる家具も、捨てていく品も、追憶にふけった時思い出の中で、色あせないのではないでしょうか。

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